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法人化(法人成り)のメリットとデメリットのまとめ

    
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法人化(法人成り)のメリットとデメリットのまとめ

個人事業主が法人化(法人成り)した方がいいのはどんなときでしょう?新たに事業を始める人は個人事業がいいのか法人を作るのかどっちがいいか悩みます。

 

法人化(法人成り)のメリットとデメリットを書いています。

 

事業を開始すると必ず「会社を作るべきか」「法人の方が得?」を考えますよね。

 

法人の方ができることなどが多いのですが、誰もが法人の方が得とは限りません。

 

法人化(法人成り)した方がいいのはどんなときなのか書いてみます。

 

 

法人化(法人成り)か個人かで悩む

 

事業をやる人が必ず悩むのが、法人化するか個人かということです。

事業は法人でも個人事業でもどちらでも行うことができます。
どちらでもできるから迷うわけですね。

 

一般的には、ある程度規模が大きくなったら法人化(法人成り)と言われます。

 

では、どの程度の規模になったら法人化すべきでしょうか?
規模だけで判断していいのでしょうか?

 

法人化した方がいい場合、しない方がいい場合がありますので注意しましょう。

 

まずは法人化(法人成り)のメリットとデメリットをよく知っておくことが大切です。

 

法人化(法人成り)のメリット

 

法人化(法人成り)を考える、ということはそれにメリットがあるからです。

何もメリットがなかったら法人化(法人成り)を考えることもありません。

 

このメリットをしっかり認識することが大切です。

どんなメリットがあるのかわからないのに法人化なんてできませんよね。

法人化(法人成り)したけど自分にはメリットがなかった、、、なんて大変です。

 

法人化(法人成り)のメリットは大まかに次のものです。

  1. 信用がある

  2. 周りからの見た目

  3. 節税できる

  4. 社長やその家族も社会保険に加入できる

  5. 決算の月を自分で決めることができる

  6. 社長をやめるときに退職金を支払うことができる

  7. 事業を継続できる

 

法人の方が信用力がある

 

1と2は似たようなものですが、法人の方が周りからの信用が違います。

実際にあるお客様が法人化(法人成り)されたときの理由が、取引先から法人にしてくれと言われたから、というものがありました。

その取引先が法人しか取引しない方針になったそうです。

 

個人事業よりも法人の方が信用力があるのは間違いありません。

 

法人の方が節税できる

 

個人事業よりも法人の方が節税はやりやすいです。

法人はそもそもとして「営利を目的」としているので、法人で行う取引は全てが事業用となるのです。なので、法人で買った車なども事業用として全額を経費にできます。

(もちろん私用ではダメ)

 

その他にも、保険は会社契約の方が経費にできるし、会社から自分に給与を払えば節税になります。

 

会社を設立して原則2年間は消費税を納める必要がありません。
個人事業で消費税を納めるようになったら法人化すれば2年間は免除になります。

 

あとは交際費。

中小企業の場合は800万円までを全額経費できますが、個人事業の場合は上限がありません。(個人事業で800万円以上も交際費を使うケースもあまりないですが)

 

節税は個人事業よりも法人の方が何かとやりやすいのです。

 

ある程度規模が大きくなったら法人化(法人成り)というのは節税の意味もあるのです

 

 

社会保険に加入できる

 

社会保険の負担は重いのでデメリットにもなるのですが、個人事業の場合は加入したくても事業主は加入できません。

法人化(法人成り)すると社長である自分自身も社会保険に加入できますし家族も加入できます。

 

決算月を自分で決めることができる

 

個人事業の場合は1月から12月までで締めて3月15日までに確定申告をすることに決まっています。これは決められていることなので変更することはできません。

それに比べて法人の場合は自分で決算月を決めることができるのです。

法人は決算月の2か月後までに法人税の申告書を提出することになっています。

 

5月を決算月にすれば7月末までに申告納税をすることになります。
忙しい時期をずらしてゆっくりと申告作業を行うこともできるのです。

 

 

事業を継続できる

 

個人事業の場合は事業主が仕事をできなくなったら廃業するしかありません。自分の子供に継いでもらうこともあるでしょうが、認可や資格などは引き継ぐことができません。

税理士事務所なども自分の子供に継がせたいと思っても子供が税理士の資格を取らない限り継がせることができません。

 

もし、法人だったら社長に何かあっても事業を継続することはできます。

社長が仕事をできなくなっても、社長を交代すればいいだけです。
なので形式上は事業を継続することもできるのです。

 

「形式上」と書いたのは、中小企業の場合は社長の力が大きいので社長がいなくなってしまうと実質的には廃業に近いようなケースになることも多いのです。

事業の継続を考えているのなら後継者の育成は必須です。

 

法人化(法人成り)のデメリット

 

法人化(法人成り)にはメリットがありますがデメリットもあります。

  1. 赤字でも税金を払う

  2. 書類など事務作業が大変

  3. 社会保険の強制加入

  4. 設立時に費用がかかる

  5. 所得が少ないと個人事業主よりも税金の負担が重くなることも

  6. 株式会社は一定期間ごとに役員変更が必要

  7. 税務調査の可能性が高くなる

赤字でも納税がある

 

個人事業の場合は赤字だったら税金の支払いはありませんよね。
ところが、法人にすると赤字でも税金の支払いが必要なのです。
均等割といわれる地方税です。

 

会社の規模や地域により金額は違うのですが、最低で7万円くらいです。

これは場所代みたいなもので事業をやっている限りは赤字でも必ず発生するものです。

 

法人化すると書類関係が面倒

 

法人にすると何かと書類関係が大変になります。

例えば、確定申告もそうです。

法人も個人事業と同じように決算書と申告書を作成しますが、個人事業とは比較にならないくらい大変な作業となります。

 

個人の確定申告書は税務署などで教えてもらったり、自分で調べて書くことも可能ですが法人税の申告書はそうもいきません。

かなり複雑ですので全く経験のない方が自分でやるのはまず無理です。

 

法人の決算も毎年ありますので毎年複雑な申告書を作成しないといけないのです。

 

社会保険の強制加入

 

最近になって最も大きなデメリットとなっていますね。

マイナンバーにより社会保険の強制加入が徹底されるともいわれています。

実際に何社か社会保険事務所から問い合わせがありました。

 

個人事業のときも国民健康保険と国民年金を支払っていましたよね。

法人化(法人成り)すると法人分と個人分の両方を支払う必要があるのです。

社会保険の負担は思っている以上に重いのです。

 

社会保険の負担が重くて個人事業に戻る個人成りをするケースも。

 

社会保険の加入は本当に大変です。

 

設立時に費用がかかる

 

個人事業を開業するときには特別なお金はかかりません。
ところが法人を設立するとなると登記手続きが必要となり費用がかかります。今は自分で調べてやることも可能ですが、なかなか手間がかかります。

一般的に司法書士にお願いすることになりますが、大体20万円から30万円程度の費用がかかります。

 

個人事業より税金の負担が重くなるかも

 

個人事業主は所得税がかかります。所得税は累進課税といって所得が増えれば税率も増えていきます。

所得が多いと40%くらい所得税がかかります。

これに比べて法人にかかる法人税は所得が増えても税率が増えることはありません。年間800万円までは15%の税率です。

 

仮に500万円の所得だとすると、所得税は20%、法人税は15%となります。

 

法人の場合はこのほかに地方税もかかりますので単純な比較はできませんが、所得が低い場合は法人化(法人成り)すると税金の負担が増えてしまうこともありえます。

 

税務調査の可能性が高くなる

 

法人化(法人成り)すると個人事業主よりも税務調査の可能性が高くなります。

 

税務調査にくるかどうかは何ともいえないので確実とはいえませんが、一般的に個人事業主よりも法人の方が税務調査が多いです。
個人事業よりも法人の方が規模が大きくなりやすいので当然といえば当然です。

 

税務調査を恐れて法人化(法人成り)しない、のはおかしなことです。

税務調査についてはこちらにまとめています。

→ はじめての税務調査。税務調査の基本まとめ

 

こんな人は法人化(法人成り)するべき

 

以上のようなメリット・デメリットがあるわけですが、自分はどうなんだろう、どうした方がいいんだろうって悩みますよね。

 

人それぞれ状況は違うのですが、こんな人は法人化すべき、というケースをあげてみます。

  • 売上が1,000万円を超えてきた

  • どんどん事業を大きくしていきたい

  • 許認可などが必要な場合

こんなところです。

 

売上が1,000万円超えている

 

今、売上が1,000万円を超えているような個人事業主の方は法人化も検討した方がいいでしょう。

これくらいの売上だとおそらく法人にした方が節税になります。一般的に所得が400万円を超えてきたら法人化の方がいいと言われます。(所得は売上から経費を引いたものです)

 

売上が1,000万円を超えると消費税もかかってきます。
資本金を1,000万円未満にしておけば2年間は免税となりますので非常に大きいです。
(例外もあり)

 

これくらいの規模になったら一度税理士に相談することをお勧めします。

継続的な顧問契約でなくてもスポットでもいいでしょう。

 

事業を大きくしていきたい

 

事業を大きくしたいのなら法人にすべきです。

法人の方が信用力が高いですから、大きく成長させたいなら絶対に法人がいい。

 

どんどん大きくなってくれば人を雇う必要も出てきます。
そのときに、個人事業と法人ではどちらの方が良い人を採用しやすいか?

これは間違い無く法人です。

 

社会保険の強制加入は痛いですが、良い人を雇うためにも社会保険加入は必須です!

 

 

いきなり法人化はしない

 

事業を大きくしたいなら法人化の方がいいです。

ですが、起業していきなり法人を作るのはちょっと待ちましょう。

 

特殊な許認可などで法人が必要な場合を除いて、
まずは個人事業から始めた方が無難です。

 

2年くらい様子を見て、軌道に乗ってきてから法人化を考えても遅くはありません。

 

法人を作ると廃業したときがちょっと面倒なのです。

法人を作るときには登記が必要ですが、なくすときにも手続きが必要なのです。

個人事業のように簡単にはいかないのです。

 

起業=会社を作る、と考えてしまいがちですがまずは個人事業からやってみましょう!

 

まとめ

 

法人化(法人成り)にはメリットもデメリットもあります。

これらをよく理解してから法人化しましょう!

 

単純に売上が増えたから、という理由だけでは不十分です。
一度会社を作るとやめるときに面倒です。

 

起業=法人化 と安易に考えるのはやめましょう!

 

法人にした方がいいかどうかよくわからない場合は税理士に相談してみましょう。顧問契約だと継続して報酬が発生しますがスポットなら一度だけです。

 

 

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税理士 内田敦 【個人事業主の税務調査専門】

税理士 内田敦 【個人事業主の税務調査専門】

個人事業主の税務調査に特化しています。14年間税理士業界を経験して独立開業。従業員を雇わず税理士である自分自身がすべて担当しています。難しい専門用語を使わないことを心がけています。子育てに力を入れているイクメン税理士。

この記事を書いている人 - WRITER -

個人事業主の税務調査の対応に力を入れている税理士です。税務調査の相談・立ち会いをしています。11歳と8歳の2児の父で子育てに力を入れています。(両方とも男の子) ⇒ 詳しいプロフィールはこちら ⇒ 税務調査の本を2冊出版しています。 ※記事の内容は執筆時点の情報にもとづいています。

税理士 内田敦

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