コロナ禍の税務調査。基本は短時間・資料を預ける・税務署で調査

2020年はコロナウイルスのため税務調査の件数が少ないです。
コロナ以前と比べて大きな違いはありません。
コロナ後の税務調査
例年ですと7月頃から税務調査が始まります。
個人事業者の場合は年内の12月までに終わらせることが多いですね。
ケースによっては年を越すこともありますが、たいていは確定申告が始まる1月末くらいまでには終わる方向です。
2020年はコロナウイルスのため税務調査の開始が遅れました。
10月から徐々に開始されています。
この記事を書いているのは2020年11月中旬です。
記事執筆時点である11月でも少しずつ調査の連絡が来ています。
コロナウイルスの影響はありますが、税務調査がまったくないというわけではありません。
→ ・税務調査についてまとめたページ
事前通知の際にコロナの影響を聞かれる
コロナ後の税務調査ではやはり3密を避けることが基本です。
定期的に換気ができるか、密接しないかなど気を付けて進められることとなります。
税務調査の事前通知の前にコロナウイルスの状況について聞かれることがありました。
- 身近に発熱などの症状がある人はいないか
- 自宅は密にならないか
- 定期的に換気ができるか
- 持続化給付金の給付を受けているか
- 今年の業績はどうか
- 小さな子供や高齢者はいるか
などなど。
税務調査は基本的に自宅で行われますので、その自宅の状況を聞かれることがありました。
密にならないか、換気できるか、などです。
さらに小さな子供や高齢者がいないかも確認されたことがあります。
万が一、感染した場合の影響を考慮しているのでしょう。
持続化給付金を受給しているかどうかを聞かれたケースもあります。
さらに今年の業績についても確認されました。
コロナウイルスにより著しく業績が悪くなっているようなところにさらに税務調査で負担をかけたくない、と考えてのことかと思われます。
実際に「今年はかなり業績が悪く、持続化給付金も受給した」と回答したところ、税務調査を実地するかどうか改めて検討する、と言われたこともあります。
この記事執筆時点ではまだ調査は開始されていません。
身近にコロナウイルスに感染したと思われる者がいる場合も一定期間様子を見られることとなります。
珍しい話ですが、税務署の職員がコロナウイルスに感染し2週間くらい調査が中断したこともあります。
税務署の職員がコロナに
実際にあったのが、税務署の職員がコロナウイルスに感染したこと。
そのときに進行していた調査は二週間の中断となりました。
税務調査の担当者がコロナに感染したわけではないのですが、同じフロアの職員は二週間程度は様子を見なければいけないようでした。
調査の途中で感染が疑われるような場合には中断されることもあります。
事前通知する者と担当者が違う
過去と違うのは事前通知の連絡をしてくる者と実際の担当者が違うことです。
税務署により違うようですが、事前通知は統括官(上司)が連絡してくることが多くなりました。
おそらく上司がコロナウイルスの影響などを確認して、調査を実施するのか判断しているのでしょう。
上司である統括官が事前通知をして、実際の担当者は別の職員であることが多いです。
連絡があった際に統括官と聞くと身構えてしまいますが、実際の担当者は違う職員であることが多いです。
ただ、統括官がそのまま調査も担当することもありました。
時間をかけず早期終了させるために決定権がある統括官が担当することもあるようです。
統括官が出てくると身構えてしまいがちですが、決定権者であるので話が早いというメリットもあります。
時間を短く
税務署職員の滞在時間を終わらせるために資料を預けることもあります。
調査開始から終了までの期間を短くするのもそうですし、一日の滞在時間を短くするようにしているようです。
資料を預けること自体は悪いことではありませんし、コロナウイルス前から資料を預けることは行われています。
税務署で調査を受けることも
密を避けられない、換気が難しい、小さい子供や高齢者がいるなどの理由がある場合には税務署で調査を受けることもできます。
実際、2020年の調査は税務署で受けるケースが多いです。
通常ですと、税務署で受けたいと伝えるとしつこく自宅に来るようなことを言われるのですが、今年はすんなりと税務署での調査を受け入れてくれる印象です。
知らない他人が家に来るわけですから不安なのは当たり前です。
心配な場合は遠慮せず税務署で調査を受ける旨を伝えてみましょう。
税務署の会議室で調査を受けた際には入り口に消毒液、テーブルには仕切りがありましたし定期的に換気もしていました。
感染対策はしているようです。
簡易的な調査が多い印象
2020年の税務調査は10月から開始されました。
時間的な問題からか簡易的な調査が多いような印象を受けます。
特に、
- 消費税の簡易課税の業種区分
- 無申告
が多いです。
細かいところですが、消費税の簡易課税での業種区分誤りを指摘されるケースが多いです。
特に建設業で3種か4種か、といったところです。
決算書に仕入がないのに消費税が3種で計算していると指摘されるケースが多いですね。
もちろん実態に応じて判断する形になるのですが、納税者本人とは合わずに税理士とのやり取りだけで済ませようとする動きがあります。
納税者側とすれば手間がかからないのでいいことではあります。
あとは、無申告も多いです。
無申告はコロナ関係なく調査は多いのですが、今年は特に多いように感じます。
以前は長期間無申告の調査が多かったのですが、今年は2、3年無申告の場合にも調査が行われています。
以前は事業を始めてから全く申告していないなど、長期間無申告である者に対する調査が多かったです。
今年は数年前まで申告していたけどここ数年だけ無申告、といったケースの調査も多いです。
以前に申告していたことである程度数字の把握がしやすく、短期間で終了できると判断されているのかもしれません。
2019年分の確定申告は新型コロナウイルスによる申告期限の延長が認められています。
コロナウイルスの影響を受けている場合は本来の申告期限を過ぎてしまっても問題はありません。
ただ税務調査が開始された2020年10月の時点で2019年分の確定申告書を提出していないのは遅すぎると判断されているようです。
大きな違いが疑われる調査も
簡易的な調査が多い印象ではあるのですが、以前と同じように大きな間違いがあると思われる調査もあります。
実際に一年間の売上金額が数百万円も違っているケースもありました。
5年分で数千万円もの違いです。
大きな違いがあるような税務調査も行われています。
→ ・税務調査についてまとめたページ
コロナ前と大きな違いはない
早期に終了させようという動きはみられるものの基本的なことは変わりません。
コロナウイルス前と同じように簡易な調査だけでなく、大きな申告誤りがあると思われる者に対する調査も行われています。コロナウイルスの影響があるからといって税務調査が甘くなるということもありません。
基本的なことは変わりませんから、しっかりとした申告をしておくことが重要となります。
繰り返しますが、コロナウイルスの影響があるとしても税務調査が甘くなることはありません。
しっかりと確定申告をしておくことが一番の対策となります。
ただ、感染を防ぐという点では
- 早期終了を目指す
- 税務署で調査を受ける
このように変わっていくこともあるでしょう。
最後に
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税理士 内田敦 【個人事業主の税務調査専門】



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