【個人の税務調査の実例】他人名義の銀行口座を使用して脱税を疑われた
個人の税務調査では銀行口座は必ずチェックされます。
他人名義の口座を使用しているとその理由を問われることとなります。
※事実関係を変えているところがあります。
他人名義の銀行口座を使用
水道工事業を営む個人事業者から税務調査対応の依頼をいただきました。
個人事業者になって10年くらいであり初めての税務調査とのことでした。
確定申告書は毎年自分で作成して提出していたようです。
白色申告で手書きで帳簿を作成していました。
ご自身では脱税などをしている認識はなくちゃんと確定申告をしているとのことでした。
確定申告書の内容を拝見すると少し経費が多いように感じられましたが、申告書を見る限りでは特におかしいと思えるところはありませんでした。
通帳を拝見した際に名義が違うことに気づきました。
他人名義の銀行口座だったのです。
他人名義の口座であっても申告
理由をお伺いすると差し押さえ対策とのことでした。
離婚歴があり、その関係で財産を差し押さえられる可能性があると考えて他人名義の口座を使用していたのです。
取引先にも事情を説明してその他人名義の口座に売上金額の入金をしてもらっていました。
他人名義の口座を使用することはできれば控えた方が良いのですが、この税務調査のケースではその他人名義の口座に入金された金額もしっかりと申告していましたので大きな問題にはならないと思われました。
1件の売上漏れ
税務調査によって1件の売上漏れが発見されました。
手書きで帳簿を作成していたので帳簿作成時に記載漏れがあったようでした。
ただ、税務署は銀行口座が他人名義であったことから意図的な売上漏れではないかと疑ってきました。
他人名義の口座を使用して税金の負担を免れようとしたのではないか?と言われました。
たった1件の売上漏れで?と思われるかもしれませんが、税務署は疑うことが仕事でもありますので仕方のないことです。
しっかりと説明して問題なく
意図的な売上漏れを指摘されましたが、ありえないことを主張しました。
- 意図的な売上漏れなら1件だけなのはおかしい
- 他の売上げはすべて申告している
- 売上漏れがあったのは1年だけである
などを主張しました。
最初はなかなか聞き入れてもらえませんでしたが、しつこく主張することで最終的には意図的ではないと納得してもらうことができました。
対策
- 意図的でない場合はその旨をしっかりと主張する
- 売上漏れについてはしつこく聞かれる可能性があるのでしっかりと説明できるように
- 客観的にみて意図的とは考えられないことを説明する
- そもそも他人名義の銀行口座を使用しない
売上漏れの説明をしっかりと
税務署は売上漏れについては厳しく対応してくることが多いです。
そのため、意図的でなかったとしても売上漏れがあるとしつこくその理由を聞かれます。
なぜ、どうやって売上漏れが起こったのかをしっかりと説明できるようにしておくことが重要です。
「客観的に見て意図的ではない」ことを説明するのも効果的です。
1年だけ、他の売上げはすべて申告している、など意図的な売上漏れではないと思われることをしっかりと告げるようにしましょう。
他人名義の口座を使用しない
できれば他人名義の口座を使用することは避けましょう。
やむを得ないこともあるかと思いますが、できるだけ早期に他人名義の口座を使用することはやめましょう。
あらぬ疑いをもたれてしまうこともあります。
どうしても使用をやめられないときには、本当に慎重に確定申告する必要があります。
税務調査の結果
この税務調査は1件の売上漏れと経費の一部を削ることで終了となりました。
加算税は過少申告加算税となりました。
調査官からも「できれば他人名義の口座の使用は控えて」と告げられました。
まとめ
税務署は疑ってくることが仕事でもあります。
他人名義の口座を使用しているだけで疑いが強くなるのは仕方ありません。
あらぬ疑いをもたれないように注意しましょう。
何度も繰り返しますが、他人名義の口座を使用するのはできれば避けた方がよいです。
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税理士 内田敦 【個人事業主の税務調査専門】



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