フリーランスの税務調査で指摘されやすい自宅事務所などの経費の割合はどうする?
個人事業者の税務調査で指摘されやすい項目の一つが「経費の割合」です。
自宅を事務所としている場合には一定の割合を経費にすることができます。
どれくらいの割合が経費なのか、が問題となることが多いです。
何割を経費としたのか、なぜその割合なのかをしっかりと説明できるようにしておく必要があります。
(経費の割合について簡単にお話しました)
事業と生活費の関連
フリーランスの税務調査で特徴的なのは生活費が絡んでくることです。
法人の税務調査では生活費が問題となることはありません。
社長など役員に対する報酬が問題となることはあっても生活費が問題となることはほとんどありません。
個人事業者の税務調査ではかなりの割合で生活費との関連が問題となります。
個人の場合は事業と生活は切り離せないものです。
参考 → 税務調査で生活費を調べられる理由
衣・食・住
生活費は経費にできません。
具体的には衣・食・住です。
原則として衣類、食事、住居は経費にできません。
衣食住は生きていく上で絶対に必要なものです。
生きていく上では絶対に必要ですが、事業のために絶対に必要とは言えません。
事業をしていなかったとしても衣食住は絶対に必要です。
ということは、事業に必要な経費とはいえないということです。
そのため衣食住は原則として経費にできないのです。
経費の部分を合理的に計算
衣食住が絶対に経費にできないというわけではありません。
フリーランスで在宅勤務していたり自宅を事務所としているのであれば「住」が仕事に必要となります。
原則として住居に関するものは経費にできませんが、自宅を事務所としている場合などは家賃の一部を経費とすることも可能です。
もちろん仕事として使っていることが前提です。
仕事で使っていることのほかにもう一つの要件があります。
それが「合理的に按分」することです。
自宅を事務所としている場合には家賃の一部を経費にすることができます。
「一部を経費にする」ことができるのですが、その一部がどれくらいなのかが問題となります。
参考 → 税務調査で経費はどれくらい調べられる?
税務調査で説明できるように
税務調査の際には必ず経費にしたその「一部」について問われます。
- なぜその割合なのか
- どうやって計算したのか
これらをしっかりと説明できるようにしておく必要があります。
税務署はずっと監視しているわけではありませんから、なぜその割合を経費にしたのかはこちらでちゃんと説明しないといけないのです。
自宅事務所で3割を経費とした場合には「なぜ3割なのか」を説明できなければいけません。
「何となく3割くらいだと思って」だとダメと言われてしまう可能性もあります。
自宅事務所の場合には
- 面積
- 時間
などで計算するケースが多いです。
例えば、3部屋あって1部屋を仕事部屋としている場合は3分の1を経費にする、などです。
60㎡のうち20㎡を使っているから3分の1など。
車であれば一週間7日間のうち5日間を仕事として使っているなら7分の5などです。
思っているより細かく指摘される
面積で計算する場合にはトイレやお風呂、廊下なども含めて考えるように指摘されたことがあります。
部屋全体の㎡数にはトイレや廊下も含まれているからそれも考慮して考えるべきだと言われるのです。すると3分の1だと思っていたところが実はもっと割合が少ないなんてこともあり得ます。
細かい話ですが、実際に税務調査でトレイや廊下の面積も考慮するように指摘されたことがあります。
税務署は思っているよりも細かく検討することを求めてきます。
先ほどあげた車の例でも実際に指摘されたことがあります。
一週間7日間のうち5日間を仕事として使っていたので7分の5を経費にしていたのですが、
車を使用するたびに走行距離を記録しておいてそれで仕事で使用した走行距離の割合だけ経費にするようにいわれたこともあります。
車を使うたびに走行距離を記録するなんて現実的にはできないでしょう。
毎回毎回、記録を残すなんて大変ですから。
でも、それくらいしっかり計算することを税務署は求めてくるのです。
わかりにくいかもしれませんが国税庁HPにも経費についての記載があります。
→ 国税庁
もちろんすべての税務調査でこんなに細かく指摘されるわけではありません。
なかには「おおよその割合」でそのまま通ってしまうこともあるでしょう。
今回は大丈夫でも
何も指摘されないこともあるのは事実です。
でも、それはそのやり方で認められたというわけではありません。
たまたま他の項目との関係でそこまで追求されなかっただけの可能性もあります。
これは自宅事務所や水道光熱費などだけではありません。
「本来は修正が必要だけど他の項目との関係で今回は修正する必要がない。」
これはよくあることです。
「本来は修正しなければいけないけど」「細かくいうとダメだけど」は税務調査ではよくあることです。
今回は何も言われなかったとしても次回はダメといわれることもあるのです。
よくあるのは「知人は大丈夫だった」「友人はOKだった」です。
税務調査はケースバイケースなので知人が大丈夫であっても自分はダメかもしれません。
当然、逆もありえます。
知人は大丈夫だったはあまり信用してはいけません。
参考 → 知人の情報は自分にあてはまらないことも
まとめ
自宅事務所など生活費が関連しているものは
- 経費になる部分を合理的に計算する
- 調査のときにしっかりと説明する
これらが重要となります。
「何となく」で経費にするのではなくしっかりと計算するようにしましょう。
計算したら何かしら根拠を残しておくことも重要です。
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