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法人化(法人成り)や個人事業を開業したら知っておくべき印紙のこと

    
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法人化(法人成り)や個人事業を開業したら知っておくべき印紙のこと

法人化(法人成り)や個人事業を開業した場合にはいろいろな契約を結ぶことがでてきます。

契約書には原則として印紙の添付が必要です。

印紙は貼り忘れると罰則もありますので注意しましょう!

 

 

 

印紙とは何?

 

「印紙」ってたまに聞くことがありますよね。

役所などの手数料を支払うときに収入印紙を貼ることがありますが、実は印紙は印紙税という税金なのです。印紙は税金の一種であって、契約書などに金額に応じた印紙を貼ることが決められています。

 

印紙を貼る必要があるのものは、契約書や領収書などです。

印紙税法で決められた「課税文書」といわれるものに印紙の添付が義務付けられているのです。

 

たまに高額な買い物をすると領収書に印紙が貼られることがありますよね。

あれも「課税文書」に該当することになったので貼られているのです。

 

印紙を貼る必要があるもの

 

印紙を貼る必要があるものは、契約書、領収書、手形、定款、などです。

 

印紙を貼るかどうかの判断は2つあります。

それは、

  • 内容
  • 金額

の2つです。

 

内容によって違う

 

例えば、「業務委託契約書」や「契約書」、「覚書」といった名称は関係ありません。


名称ではなくあくまで内容によって印紙をはるかどうかを判断するのです!


覚書だから貼らなくていいや、とか業務委託契約書だから絶対に貼らないとダメ ということではないのです。

 

文書の名称は関係ないと覚えておきましょう!

 

金額によっても違う

 

もう一つの判断基準は金額です。

みなさんが買い物をしたときを考えてみてください。
コンビニでジュースを買ったときの領収書には印紙は貼ってないですよね。

パソコンや家電などちょっと高めのものを買ったときには印紙が貼ってあります。

これは5万円を超える領収書には印紙を貼ることになっているからです。

 

5万円以下は非課税、5万円を超えたら200円の印紙、100万円を超えたら400円、といったように金額が決められているのです。

金額によっても違うということを覚えておきましょう!

 

印紙を貼る代表的なもの

 

印紙を貼るべきものってたくさんあるので、全部を把握するのは困難です。

正直言うと、税理士であっても印紙の判断は非常に難しいのです。

 

印紙を貼る代表的なものを少しあげておきます。

 

領収書

 

何かモノを売ってお金を受領したときには領収書を発行しますよね。

このときには5万円を超えたら印紙を200円分貼ります。(5万円未満は不要)

100万円を超えて200万円までは400円。

200万円を超えて300万円までは600円。

 

このくらい覚えておけばいいでしょう。

 

継続的な取引にかかる契約書

 

取引の条件を決めた契約書や代理店契約、業務委託契約など継続して取引するようなものにかかる契約書には4,000円の印紙が必要です。

 

例外として、契約期間が3ヶ月未満で更新の決まりがないものは印紙は不要。

 

このような「継続的な契約書」にも印紙が必要ですが、忘れていることが非常に多いです!

 

請負契約書

 

工事請負契約書、広告の契約書などです。

金額が1万円以上100万円以下で200円の印紙。

100万円を超えて200万円以下は400円です。

 

この辺りを覚えておけばいいでしょう。

 

印紙は改正される

 

税金は税制改正によって改正されます。

税制改正は毎年あり、毎年税金の制度は変わっているのです。

印紙も印紙税法という税金なので改正されることがあります。

領収書は以前は3万円以下は不要だったのですが改正されて今は5万円以下は不要となっています。

 

今は200円で済んでいた印紙が400円必要になったりすることもあるのです。

 

一番いいのは税制改正を毎年確認することですがそれは大変なので税理士に聞いた方が早いです!たまにでいいので印紙の金額が変わっていないかどうかを確認するようにしましょう。

 

印紙を貼らないとどうなる?

 

法人化(法人成り)したり個人事業を開業して事業をやっていくと何かと契約を結ぶ場面がでてきます。ちゃんとその都度に印紙が必要かどうかを判断して適切に対応していればいいのですが、うっかりと貼り忘れてしまうこともよくあります。

 

印紙の貼り忘れが発覚するのは税務調査のとき。細かいことですが税務調査の前にはすべての契約書を確認して印紙の貼り忘れがないかを確認した方がいいです。

 

印紙が必要なのに貼っていないことが発覚すると罰則があります。

 

契約の内容は無効にはならない

 

印紙は印紙税という税金です。印紙を貼っていないのは印紙税を払っていないということですがだからといって契約の内容まで無効になることはありません。

印紙が貼っていなくても契約は有効です。印紙は税金なので税金に対する罰則があるのです。

 

貼っていないと本来の3倍になる

 

税務調査などにより印紙の貼り忘れや金額が違っていると、本来の印紙の3倍の金額が罰則として課されます。本来は4,000円でよかったものが12,000円も取られることになってしまいます。

税務調査で指摘される前に自分から貼り忘れていたことを申し出た場合は1.1倍になります。

 

3倍って結構な負担です!絶対に忘れないようにしましょう。

 

印紙は思ったより負担が重い

 

印紙税って結構負担が重いです。

普段目にするのは5万円を超えたときの領収書で200円の印紙が貼ってあるものくらいですが、事業をやっているともっと大きな印紙が必要となることもあります。

 

例えば、不動産の売買契約書などだと1,000万円から5,000万円だと2万円の印紙です。貼り忘れていたことが発覚すると3倍の6万円にもなります!

 

売買取引の基本契約や代理店契約のように継続して取引するようなものだと4,000円。

 

意外と負担が重いので注意です。

 

印紙代の節約方法

 

印紙代を節約する方法もあります。

  • コピーを使う 
  • 書類をデータ化する 
  • 金額の記載方法を変える

このような方法で印紙代を節約することができます。

 

コピーする

 

契約書は通常双方に保管しておくものですから2部作ります。

普通に2部作ると2部とも印紙が必要となりますが、1部だけ作成してコピーすれば印紙は1部だけで済みます。金額が大きなときには非常に有効ですね!コピーでもちゃんとした契約として有効ですから大丈夫。

 

注意点は、コピーには何も書いてはいけないことです。

 

コピーに「原本と相違ない」とか「署名」などをしてしまうと印紙がただのコピーではなく原本的な扱いとなって印紙が必要となります。「控え」とか「写し」もダメですよ!

 

書類をデータ化する

 

契約書などをPDFで作成すれば印紙を貼る必要がありません。
今や紙で保管することも少なくなってきていますので、双方が納得していて確認のためだけのものであればPDF化しておけば十分でしょう。

 

万が一、もめたときも裁判でも有効な証拠として扱われます。

 

金額の記載方法を変える

 

いくらの印紙を貼るかは契約書に書かれている金額により判断します。

請負契約で「1,080万円(税込)」となっていたら印紙は2万円。
これが、「1,080万円のうち消費税額等80万円」としたら印紙は1万円。

請負金額の場合は1,000万円を超えるかどうかで印紙の金額が変わります。

 

契約書に消費税額が明らかにわかるように書けば消費税抜きの金額で判断していいのです!

 

「請負金額1,080万円 税抜価格1,000万円」でもすぐに消費税額がわかるのでOK。でも、「1,080万円(税込)」だと消費税額が明らかでないのでダメです。この場合は1,080万円で判定することになります。

 

このようにちょっとしたことで印紙代の節約をすることができます。

 

まとめ

 

印紙は非常に判断が難しいケースも多いです。税理士であっても即答できないこともあります。

 

大切なのは、契約書などには印紙が必要だと覚えておくことです。

 

あれ、これって印紙が必要なのかな、と気づくことが大切なのです。

いくらの印紙を貼ればいいかわからなかったら税理士に相談するなりすればいいのです。

 

契約書を結ぶときには印紙のことを思い出しましょう!

 

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税理士 内田敦 【個人事業主の税務調査専門】

税理士 内田敦 【個人事業主の税務調査専門】

個人事業主の税務調査に特化しています。14年間税理士業界を経験して独立開業。従業員を雇わず税理士である自分自身がすべて担当しています。難しい専門用語を使わないことを心がけています。子育てに力を入れているイクメン税理士。

この記事を書いている人 - WRITER -

個人事業主の税務調査の対応に力を入れている税理士です。税務調査の相談・立ち会いをしています。11歳と8歳の2児の父で子育てに力を入れています。(両方とも男の子) ⇒ 詳しいプロフィールはこちら ⇒ 税務調査の本を2冊出版しています。 ※記事の内容は執筆時点の情報にもとづいています。

税理士 内田敦

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