法人化(法人成り)して社長にお金を残す方法!無駄な税金を払わない
法人化(法人成り)すると会社と個人という2つに分かれます。
個人事業のときと違って事業で稼いだお金を個人が自由に使うことはできません。
たとえ社長であっても会社のお金は自由に使ってはいけません。法人化(法人成り)したら会社から社長に給与(役員報酬)を支払うことになります。
役員報酬以外にも会社から個人にお金を移す方法があります。
ですが、基本的に個人にお金を移すには税金がかかるのです!
上手くお金を残すようにしましょう。
法人化(法人成り)したら会社と個人は別
個人事業主のときも起業したらお金を事業用とプライベート用にきっちりと分ける必要がありましたよね。
これが法人化(法人成り)するともっと厳密にわけないといけません。
例え、役員も株主も社長一人だっとしても法人と個人は別なのです。
個人事業主のときの感覚が抜けず、このあたりがきっちりと把握できていないケースが多いです。
いくら売上があがって利益がでようとも、それはあくまで「会社のお金」です。社長であっても自由に使うことはできないのです。
会社から個人にお金を移すと税金がかかる
では、会社のお金を社長が個人的に使うにはどうすればいいかというと、給料(役員報酬)として支払えばいいのです。
役員報酬として毎月会社から個人に支払うことで社長も個人的なことにお金を使うことができるようになります。
「社長一人なんだから会社から勝手に引き出せばいいのでは?」と考える人もいますよね。
実は税務署もこのあたりはよくわかっていて、会社から社長へのお金の流れは執拗にチェックされます。
会社から勝手にお金を引き出して社長が個人的なことにつかってしまった、なんていうケースは本当によくあるのです!
このケースだと、社長に対する賞与だとみなされてしまいます。
これは最悪です!
役員への賞与は会社で経費にできません。そのうえ、社長個人に所得税・住民税などがかかってきます。
会社からお金を支払っているのに経費にできないうえに、所得税などがかかってしまうのです。
社長だからといって会社から勝手にお金を引き出してしまってはダメですよ!
法人の社長貸付金は悪いことしかない
よくあるのが、「借りた」という話。
会社から社長に100万円振り込んだときに、貸したとして処理するんです。
社長(役員)貸付金、というものです。
この社長貸付金ですが、悪いことしかありませんのでなるべくやめましょう!
- 絶対に税務署から突っ込まれる
- 銀行の印象が悪い
- 利息がかかる
このようなデメリットがあります。
どうしても借りるなら金銭消費貸借契約書を作りましょう!
法人化(法人成り)するとどうしても会社から個人にお金を移してしまって、貸付金が発生することがあります。
税務署からつつかれる
まず間違いなく税務署から突っ込まれます。
税務署としては借りたのではなく、貰った、つまり賞与ではないかと思うわけです。
賞与になるとダブルパンチで会社にとって最悪なのはすでに書きましたよね。
あと、その借りたお金を何に使ったのかも調べられます。
会社の税務調査なのに、社長個人の銀行口座も見られますよ!
(貸付金がなくても見られるときは見られますが・・・)
とにかく税務署から突っつかれますのでなるべくやめましょう。
銀行の印象が悪い
銀行からの印象も悪くなります。
銀行側からすれば当然ですよね。
自分(銀行)が貸したお金が社長個人に渡っていたら、いい印象は持ちません。
新規の借入も難しくなります。
お金を借りる前に社長に貸してるお金を返してもらってください、と言われますよ!
社長への貸付金は銀行にも印象悪くなります。
利息がかかる
銀行からお金を借りると利息を払いますよね。
それと同じで社長にお金を貸すと利息を取りなさいと言われるのです。
会社側は利息を受け取る側なのでその分が収益となってしまいます。
会社から社長にお金を移す方法
会社から個人にお金を移すと税金がかかります。
会社ではなく個人にお金を残したいなら税金を支払うしかありません。
個人にお金を移す方法としては、
- 役員報酬として支払う
- 配当金として支払う
- 保険を使う
- 出張手当を使う
- なるべく法人名義にして法人の経費にする
- 社長が持ち出した備品を法人で買取
このような方法があります。
役員報酬を払う
これは王道の方法です。
会社でたくさん利益がでたら役員報酬の金額も上げれば個人にたくさんお金を移せます。
当然ですが、給料なので個人に所得税や住民税もかかってきます。
注意点は役員報酬は年間を通して一定額でないといけないということ。
月30万円と決めたら一年間は30万円でないとダメです。
利益がたくさんでたから報酬をたくさん支払って利益を消そう、という利益調整をさせないようになっているのです。
役員報酬についてはそれだけで1記事書けてしまうので別記事にて書きます。
配当金を払う
上場会社などであれば普通に行われています。
会社に利益がでたら株主に対して配当金を支払うのです。
小規模企業だと社長=株主ですから会社に利益がでれば配当金として社長に支払うこともできます。
ただし、配当金にも20.42%の税金がかかります。しかも支払う会社側では経費にできません。
中小企業にとっては現実的ではありませんね。
保険を使う
よく使われていたのが保険です。
今は厳しくなってしまってできなくなりましたが、ちょっと前には法人で契約した保険を個人に移す方法で無税で資産を移転するものが流行りました。
法の抜け穴を通るような方法だったのですが、その抜け穴も塞がれてしまいました。
無税では無理ですが、保険を使って個人に資産を移すこともできます。
出張手当を使う
役員報酬には所得税などの税金がかかりますが、税金がかからずに支払う方法があります。
それが出張手当です。出張手当は要件を満たすと税金がかかりません。
要件は旅費規定の作成です。
旅費規定を作成すると、その旅費規定に従って出張手当を支給することができます。
しかも、給与ではないので所得税などがかからない非課税であり、会社側も経費にできます。
出張が多いなら作っておいた方がいいです。
出張手当の金額はいくらというのは会社次第ですが、一般的に常識的な範囲でないと税務署からダメと言われてしまいます。
一般的なところで役員だと、宿泊費2万円、出張費1万円くらいが多いですね。
出張にかかる精算って非常に面倒ですが、旅費規定に基づいて支給すれば煩雑さを軽減できます。しかも、規定に従って支給していれば実際にかかった費用より多く支払っても給与とはなりません。
実際にかかった費用が35,000円、旅費規定による支給が50,000円だとしても差額の15,000円には税金がかからないのです。
あくまで旅費規定の作成が必要ですので注意しましょう!
個人名義のものを法人名義にする
細かい話ですが地味に効果がある方法です。
スマホや電話などの通信費、保険などを法人名義にすればその分の支払いは法人からとなりますので個人の負担は減ります。
個人名義の車を法人名義にするのもいいです。
この場合は個人から会社に譲渡(売る)ことになるので売買契約書などを作る必要があります。
譲渡代金はネットの中古車金額などを見て決めれば問題ありません。
あまりにも相場とかけ離れた金額ではダメです。車を法人名義にすれば自動車税や保険、ガソリン代なども法人の経費にできます。
これまで社長個人が支払っていた車にかかるお金を会社の経費として支払うことができます。
社長の備品を会社で買う
法人を設立したばかりの頃は社長が個人で使っていた備品なんかをそのまま使うケースがありますよね。
法人化(法人成り)する際には個人で使っていた備品をそのまま会社が使うケースもあります。
社長の備品を会社が買い取ると経費にできます!
買取なのでお金の支払いもしていいです。
例えばパソコンや電話、机などの事務用品を社長から会社に売るのです。
売る金額は常識的な金額であれば大丈夫。
パソコンなどはネットで中古の金額などを調べれば大丈夫です。
その他にも自宅で使っていた冷蔵庫や電子レンジなども会社に売ることができます。
(もちろん事務所で使わないとダメです)
要は、社長の私物で会社の事業用として使うものは売ればいい、ということです。
売る社長側としてはお金が入ってくるので確定申告が必要になりそうですが、
「生活用動産」を売った場合には税金がかからないのです!
買った側の会社は経費にできるので、お得ですよね。
もし、社長の私物を会社で使っているのなら「売る」ことを考えましょう!
まとめ
法人でいくら売上を上げて利益を出しても、あくまでそれは法人のものです。社長一人の会社であっても法人のお金を個人的なことに使ってはいけません。
会社のお金を個人に移すには税金がかかります。
無税で個人に移すのはムリです。
法人から個人にお金を移す方法はいくつかありますが、税金がかかってしまうことは覚えておきましょう!
不用意に法人から個人にお金を移すとムダな税金がかかります!
個人にお金を残したいのであれば税理士に相談しましょう。
顧問税理士がいないのであればぜひ依頼することを検討してみてください。
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